創業について

The founder of Klin Foods (aka Klin), Mr. Liu Senior, opened the store in 1952

台南人の生活の一部となる

克林食品店の創業者である一代目の劉さんは台湾の日本植民地政策時代に日本兵として、南洋にある日本憲兵隊に徴兵された過去があります。当時は一つの町で百人以上の若者が徴兵されました。しかし、無事に台湾へ戻れたのはわずか十三人でした。劉さんは台湾に戻り、木材の商売に携わりましたが、貸し倒れが起こり、諦めざるを得ない状況に追われました。その後、南商業学校に招聘され、実習科目の主任になり、金融界のエリートの育成に力を注ぎました。1952年、お店現住所の向かいに自家製洋菓子、パン、食料品、雑貨などを販売する克林食品店を開きました。

Klin offered delivery service for the customers to enjoy fresh slices of toast昔、「食パン」は高級栄養食材でした。一本の値段は4.5元、一本そのまま購入する人はほとんどいませんでした。食パンを購入する家庭は、ビン牛乳を購入するように、お店の人が毎日二~四切れを一パックとして、お客さんの住所まで届けていました。当時台南に駐在していた米軍は馴染みのある食材があるため、お店に注文しました。さらに克林食品店は宅配サービスがあったため、その他の食料品の調達も当店に任されました。劉さんは台湾の日本植民地政策時代、商業学校に通っていたため、簡単な英会話を身につけており、間接的に米軍家庭の生活の役に立ちました。そのお礼として、リンゴや米軍基地購買部の商品をもらいました。当時これらの物品は手に入らない物でしたので、お客さんに注目され、克林食品店もこれらを販売することにしました。この時、台湾は戦後の初期であり、物資が大変欠乏した時代でした。店内では外国製品を取り扱っていたため、克林食品店は当時台南で唯一輸入食品を販売しているお店となりました。しかし六十年代以前は輸出入に対する政府の規制が厳しかったため、輸入品は「贅沢品」とみなされ、常連客にしか販売しませんでした。

日本式の製法を加え、台湾の人々にさらに愛される食パンを作る

seriously, Mr. Liu Sr1959年、お店は現在の場所に移転しました。1962年に工事が竣工し、その翌年にオープンしました。一代目の劉さんは洋菓子やパン作りのために修行し、さらにおいしい食パンやケーキが作れるように、日本パン技術指導所の雁瀬大二郎先生を招き、指導をお願いしました。雁瀬先生は一か月ほどお店に滞在し、技術の提供や開発を行いました。当時、洋菓子店は西洋の作り方がメインでした。日本の製法で作ったパンはふっくらしてかつ柔らかく、台湾人の好みに合い、皆に愛される食パンが誕生しました。この食パンは台南で一躍有名になり、お店の繁忙期間中は三十数人のスタッフを採用し、深夜二時より作業を開始しなければなりませんでした。劉さんは後、商品開発に専念することになり、お店の営業については奥さんと実弟に任せることになりました。

六十年代中期、輸入規制がやや緩和されました。しかし当時の関税は二百パーセントであり、欧米以外の輸入は許可されませんでした。その数年後に初めて、日本の缶詰の輸入が許可されました。二代目である劉宗安さんは1975年、兵役を終えた後、お店の営業を引き継ぎました。彼はお店を拡大し、雑貨や食料品の販売を増やしたほか、克林企業株式会社を設立しました。また、台南初のパン屋から切り替えた小規模のスーパーマーケットを立ち上げ、多くの地域洋菓子または缶詰組合団体が視察でお店に訪れました。当店は台湾食品業界の先駆者でもありました。小規模スーパーのほか、劉宗安さんはお店の看板商品である八宝肉まんの商品名を「克林台包」(意味:克林の台湾肉まん)と名前をつけ、二十一世紀、台南で一番台湾風なお土産と誇りました。

八十年代、政府は輸出入の規制を撤廃し、様々な食材店やスーパーマーケットが多く設立され、克林は時代の先駆者でなくなりました。劉宗安さんは市場調査を行い、ニーズに応えるよう、1987年に店舗を再び改装し、店内は現在の風貌となりました。お店は日本の商品を多く取り扱い、台南で日本の輸入食材が最も多い店となりました。克林のみでしか販売していないいくつかの西洋食材もありました。歴史のあるお店だからこそ信頼され、皆に長い間愛され続けてきました。

今日に至り、孔子廟の近くに佇む克林には、常に輸入の缶詰やジャムを買い求める外国の方々が来店されます。年配や中年の方、若者といった三世代にわたるお客さんも買い物に訪れます。台南にお越しの際、是非当店に立ち寄り、お店の歴史を知っていただければ、きっと東西文化の融合や新旧の共存に感動することでしょう。